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YouTubeは観られても、本が読めない?「読書」と「労働」の悩ましい相関とは

2024年4月19日

  •  読書の時間が取れないから、会社員を辞めた――。書評家・三宅香帆さんによる書籍『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社)の出発点には、ハッとした。ビジネスマンならば「読書」をするべきと、頭では分かっている。しかし、何かと忙しい、時間がない…として、手が伸びないのもよくある話だ。


     幼少期から「読書の虫だった」とする著者も同じく、かつての「週に5日間毎日9時半から20時過ぎ」まで働く会社員時代には、気が付けば「スマホのSNSアプリ」や「YouTube」を開いてしまう毎日を過ごしていた。ふとひらめいた「そもそも本も読めない働き方が普通とされている社会って、おかしくない!?」の問題意識は、本書の原点に。私たちは「働きながら本を読める社会」に生きられるのか。深く考察する、足がかりとなる。


     本書では「読書」と「労働」の悩ましい相関を、歴史をたどりながらていねいにひもとく。現代のビジネスマンに人気のジャンルは「自己啓発書」だが、その歴史は古く「労働」の言葉が使われるようになった、明治時代までさかのぼるとは驚きだ。

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