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花澤香菜、小林千晃らでTVアニメ化『花野井くんと恋の病』。恋を知らない少女と愛が重いピュアな少年のラブストーリー

2024年4月18日

  • 花野井くんと恋の病"
    『花野井くんと恋の病』(森野萌/講談社)

    「恋の病」という言葉がある。恋愛をすることによって相手のことばかり考えてしまい勉強や仕事が手につかない、とか、感情が不安定になったり、食欲や睡眠など心身に影響が出たりすることを指す。


    『花野井くんと恋の病』(森野萌/講談社)はまさしく、現在進行形で恋を患う高校生カップルの物語だ。電子書籍を含む累計発行部数400万部突破の大人気恋愛マンガで、2024年4月よりTVアニメが放送を開始している。メインキャストに花澤香菜さん、小林千晃さんが出演する。第1話を見たが、ていねいかつ緻密に原作を映像化していると感じた。


     この春話題のマンガに興味をもった方、そしてアニメを見て続きが気になった方はぜひ読んでみてほしい。


    ■出会った翌日に公開告白!恋を知らない少女と愛の重い少年のピュアラブストーリー


     日生ほたるは、明るく家族や友達思いの優しい性格の高校1年生。彼女は周りのキラキラしている友達とは違い、恋愛とは縁のない学校生活を送っていた。そんな彼女は、ある雪の日に高校生の男子が振られる場面に出くわす。彼は学校で“頭も顔も偏差値80”と話題のイケメン・花野井くんこと花野井颯生(はなのい さき)であった。ほたるは帰宅途中、雪の降るなか公園のベンチで呆然としていた花野井くんを見つけ、何気なく傘を貸した。


     翌日、隣のクラスからやってきた花野井くんはいきなり「君は運命の人、僕と付き合ってください」とほたるに公開告白してくる。校内では有名人ではあるが、ほたるからすると知らない男子。そんな花野井くんから突然告白されたほたるは戸惑い、そもそも恋に疎いこともあり一度は断る。しかし彼は「自分を知ってほしい、お試しで付き合ってみてほしい」と引き下がらない。


     こうして、ふたりは期間限定の彼氏彼女になる。ほたるは小学生の頃のある経験から、恋する気持ちがわからないことに悩んでいた。そこで試しに……と考えたのだ。ただ、花野井くんは「好きな子のためならなんでもしてあげたい」と考える、注ぐ愛情が無限大の激重男子だった。実はそれには彼の過去が関係しているのだが、いずれにせよ、ほたるはついていけない。ただでさえ、誰かを特別好きになる感情がわからないからだ。


     そんななかで、彼女は「相手を大事にする素敵さ」を知り、よくわからない「初めての感情」を抱くようになる。ふたりの距離は少しずつ縮まっていく。


     なにはなくとも、恋を知らない女子が、“溺愛”男子に甘やかされる王道のラブストーリーが楽しめる本作。クラクラするほどピュアなふたりの気持ちは繋がるのかどうか、ぜひ5巻まで読んで確かめてみてほしい。個人的には、できれば6巻まで読むと完全にハマると思っている。


     そこで大団円……ではない。物語はここからなのだ。


    ■ドキドキの先にあるのは孤独な少年の成長ストーリー


     ほたるが徐々に意識していく王道展開。そこから、だんだんと花野井くんの過去、背景、そして本当の感情が描かれていく。『花野井くんと恋の病』という作品タイトル通りで、ドキドキしているヒロインから“ターン”が変わるのである。


     読んでいくと、勉強はできるし顔は良い花野井くんは、実はまったく完ぺきではないとわかる。確かにモテるし、複数人に告白されてそのたびに付き合った。しかし全員に振られている。彼は自分を好きになってくれた相手に思いを返そうとしたが、それが重すぎたのだ。この“愛が重い”というのは最初、コメディタッチで描かれている。ただ、それは彼の不器用さゆえであると後に判明する。不器用だから彼女へ100%になり、他のことが目に入らないのだ。恋愛としては正しいようだが、恋愛体質というのがしばしばネガティブな意味になるように、恋のことだけを考えていたら社会生活に悪影響を及ぼす。


     また、花野井くんには友達がいなかった。学校で孤高の存在の彼はクールなわけではなく、一人になりたいわけでもない。ただ、人間関係を上手く構築できないのだ。花野井くんは、このままでいいはずがない。ほたるは出会った当初から心配しており、本人も自覚していく。花野井くんを形作った過去、そしてそこからの再生もじっくりと描かれていくので注目してほしい。


     恋の病にかかったほたると花野井くんがどう成長していくのか、読み進めていく手が止まらなくなること間違いなしだ。見守りがいのあるふたりなのである。


    文=古林恭

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