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手塚治虫から『リウーを待ちながら』まで! グラフィック・メディスンという概念の登場で新たな使命を帯びた「医療マンガ」の歴史

2021年6月5日

  • 日本の医療マンガ50年史
    『日本の医療マンガ50年史』(一般社団法人 日本グラフィック・メディスン協会/ SCICUS)

     先ごろ発売された『日本の医療マンガ50年史』(一般社団法人 日本グラフィック・メディスン協会/ SCICUS)は、その名の通り医療をテーマにしたマンガが登場した1970年から現在までの100作品を、「医療マンガ」の観点でレビューしている珍しいカタログ本だ。


     なぜ今、「医療マンガ」に特化したこのような本が発売されたのかは後述するとして、まずは掲載されている「医療マンガ」たちを紹介していこう。


     本書のレビューは、マンガという媒体で初めて医療の世界を扱った手塚治虫の1970年の作品『きりひと讃歌』からはじまる。本作は難病の解明、医学界の権力闘争、病の差別など、今日の医療マンガで扱われる問題がほぼ網羅されている記念碑的作品だ。


     同じく手塚治虫の『ブラック・ジャック』(1973)は累計1億7000万部を超える医療マンガ最大のベストセラーであり、学校図書館、公共図書館に所蔵され読まれ続けている。本作の影響で医師を目指した人も多数いるなど今でも大きな影響力を持ち続けている。また手塚は1981年に幕末の蘭方医を描いた『陽だまりの樹』も発表し、日本の医療マンガの幕開けが医師免許を持った“マンガの神様”手塚治虫からはじまるというのが面白い。

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