ダ・ヴィンチ - ワラウ

色褪せる美しさ/前島亜美「まごころコトバ」⑫

2021年9月24日

  •  ずっと、早く大人になりたかった。早く成人して歳を重ねたい。“自立した大人”にあこがれていたので、名乗る歳が一つ増える誕生日が好きだった。


     歳を重ねること自体が好きなため、誕生日だからといってはしゃいだりすることはなく、ケーキを食べて今日から始まる新しい歳について考えるだけでいつも満足する。


     こうしたお祝いの時や、クリスマスなどに「プレゼントは何が欲しい?」と聞かれた時、うまく答えることが難しい。


     幼いころは新作のゲームや、好きな戦隊ヒーローのオモチャ、面白そうな本など、欲しいものに溢れていた気がするが、いつからか“欲しいと思うもの”がなくなっていた。後で決めると言いながら、結局何ももらわない、買わないということが長く続いていた。


     必要なものはあっても、欲しいと思うことがない。せっかくのお祝いごとに“何か”が欲しいという気持ちはあるのだが、その何かが分からない。


     年頃になっても女の子らしいとされる洋服やコスメに強い関心がなく、ブランド物にも全く興味がなかった。

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